彗星のてんぷら

あげたての星からはイマージュの匂いがする

ドストエフスキーオタク、韓国のイワン・カラマーゾフに会いに行く

今年も残すところあと二週間あまりとなりましたが、「まだ2023年のターンは終わっていないぜ!」と山積みのやりたいことを消化中のかかり真魚です。楽しみにしている#ぽっぽアドベント2023 の開催、本当におめでとうございます! 主催のはとさんのご尽力と…

保守的な人間がとんでもなく破天荒な人間を思いがけず好きになってしまって自分でもどうしたらいいか分からないくらいめちゃくちゃになっている歌で学ぶ韓国語中級文法

業者のお兄さんが部屋のエアコンをピカピカにしてくれているあいだ、部屋の隅でミュージカル『レッドブック』の一曲を翻訳し直していたらすごくよかった&中級文法目白押しだったので、自分のためにまとめる記事です。 ブラウンという真面目で形式ばった保守…

韓国ミュ『ブラザーズカラマーゾフ』より「発作」翻訳

youtu.be 「発作」 スメルジャコフ役/박준휘 こうやって老いた猫を殺したりした子猫を裂いて連れて歩いたりしてた人びとの罪を眺めるとき しあわせなんだ神さまのすべての被造物をあいしている小さい子供たちをあいしている子猫たちもあいしている自分自身…

初夏の渡韓日記(三日目~五日目)

・病的な興奮から明けて、渡韓三日目の朝。午後九時頃に目覚めたが、明け方午前三時までうめき声を上げホテルの室内をうろつきながら一心不乱にミュージカル観劇の感想をポメラに打ち込んでいたとは思えない爽快さである。旅先で迎える朝っていいよね。 ・本…

初夏の渡韓日記(二日目)

さあ、渡韓二日目。今日はついに待ちに待った『ブラザーズカラマーゾフ』の初観劇日である。たっぷりと睡眠を取り、当然目覚めは最高~と言いたいところであったが、起きた瞬間から過度の緊張感が全身を走っており、なんとなく尋常でなかった。なんだか感覚…

初夏の渡韓日記(1日目 ~明洞編~)

北村韓屋村の美しい町並みだが、不穏な韓国ドラマを観すぎてるので、坂の上から黒塗りの車が今にも走ってきそうと思ってしまう。 韓国でミュージカル『ブラザーズ・カラマーゾフ』が行われているのを知ってから約一年半あまり、遂にやって来た再演の知らせに…

韓国ミュージカル『ブラザーズカラマーゾフ』感想四連単

今回『ブラザーズカラマーゾフ』が公演されたYES24劇場の入口。韓国のブロードウェイともいうべき大学路には、こういう劇場が町中に溢れていて年中多くの作品が上映されている。 日本という小さな島国で密やかに生活するドストエフスキーオタクのわたし、か…

「ローレライの丘の女たち」和訳歌詞

予習として韓国ミュージカル『レッドブック』の歌詞を翻訳したものから「ローレライの丘の女たち」を投稿してみます。 十八世紀イギリス、官能小説家としての第一歩を踏み出したアンナは、女たちの文学サークル「ローレライの丘」を訪れます。 この曲はそこ…

韓国旅行2日目&3日目

韓国旅行一日目の記事はこちら kakari01.hatenablog.com 韓国旅行二日目(12月30日) ・「韓国一人旅、結構いけるな……」という謎の自信感と共に就寝し、明けた二日目。二日目は景福宮見学、仁寺洞でショッピング、そして江南方面にてミュージカルJCS観劇とい…

韓国旅行1日目

12月28日 ・仕事が終わり、帰宅。前日に大体荷物は詰め終わっているので、さしてやることがない。度胸試しに、韓国人と通話できてめちゃ勉強になると噂の通話アプリ「マウム」で電話を掛けてみる。七分半通話無料で、プロフィールから合いそうな相手をアプリ…

韓国ミュージカル『女神さまが見ている』雑感

2022年、年の暮れ。大好きな韓国版ミュージカル『女神様が見ている』(通称:よぼしょ)を観に韓国に行って来たので、忘れないうちに作品感想を書いておこうかなと言う記事です。ちなみに旅行記ではない……旅行記はまた別で書けたら良いなと思うけど、莫大な…

ドストエフスキー中短編のススメ

はじめに 2021年末、ドストエフスキー生誕百年を迎え充実した一年を過ごしたわたしは「我々は約束された勝利のドストエフスキーオタク!」と歓喜を全身にまとい幸福に胸を震わせ高らかに右手を天に突き立てたのだが、年明け早々その背後で爆風が起こり、ロシ…

アメと豊潤(果樹園SF)

旧世民法第八十八条(天然果実及び法定果実) 一、物ノ用法ニ従イ収取スル産出物ヲ天然果実トスル。 二、物ノ使用ノ対価トシテ受ケルベキ金銭ソノ他ノ物ヲ法定果実トスル。 ステーションに煌びやかな車体が到着し、彼女は腰を上げる。人気沸騰中のハヌェル化…

約束された勝利のドストエフスキーオタク #ぽっぽアドベント2021

はじめに はとさんのご好意により、今年も #ぽっぽアドベント2021 に書かせて頂けることになりました。 とても楽しみにしている企画で、今日までの記事もどれも楽しく読ませて頂いています。皆さんの語られる歓びに触れるたびに、もちろんそればかりではなく…

アバウト・ア・ガール

だからナタの持ってくる仕事は嫌だったんだ、とユンジェは血で開きにくくなった目をしばたかせながら思う。半覚醒した身体は重く、口の中が鉄っぽく粘ついている。 最初から嫌な気がしていた。いつぞやの借りがなければ、あの慇懃無礼を絵に描いたような女の…

代々(短編小説)

本番に弱いんだ。ここぞ、というときに必ずハズす。不運、と言ってしまえばそれまでだけど、運にしては確立が高すぎる。よく「そういう星の元に生まれた」って言うでしょ。ああいうの、見苦しい言い訳と思う人もいるだろうけど、私には分かるな。自分の頭上…

椅子とせいかつ

この記事は、はとさん(@810ibara )主催の #ぽっぽアドベント (変わった/変わらなかったこと3 Advent Calendar 2020 - Adventar)の6日目の担当記事にリンクしています。 書いているのは、通りすがりの人文学の顔ファン、かかり真魚です。 はとさんのアド…

【再掲】男女BLとは何かー『映画ズートピア』にみる男女BL

2016年に発刊された『BL俳句誌 庫内灯2』に寄稿した男女BL論の再掲です。 主にフェミニズムとBLの関係に焦点を当てながら、当時ネット上で度々話題になっていた「男女BL」について書いたものです。 発表当時から既に三年。フェミニズムやクィアに関し…

シャブ漬けにうってつけの世、あるいはスプートニクの犬

映画『毒戦』を観てきた感想。二回観に行きました。 1957年の11月3日にソビエト連邦が打ち上げた世界初の宇宙船スプートニク2号に乗り、有人宇宙船の実現へと導いた伝説の犬の名を『ライカ』という。 語り継がれた挙げ句、今では擦り切れた話であるが、この…

ノーパン神父

2015年発行 BL俳句誌「庫内灯」寄稿 ノーパン神父 かかり真魚 炎天や蒼目のわかき闘牛士 死を掠め赤らむ頬のカンナかな 凌霄を散らす自慰せよ美青年 屠殺屋とをどるCha−Cha−Chaや夏の果 昼火事のごときノーパン神父来ぬ 冬晴や歯型の残るロシアパン…